「ドライウェイト(Dry Weight)」は直訳すると「乾いた体重」。透析患者さんにとってとても大切な概念ですが、意外と説明が難しいですよね。「透析患者さん特有の体重」「水分が体内に溜まっていない状態の体重」など、さまざまな捉え方があります。
ドライウェイトをしっかり理解することは、患者さんが透析を受けながら日常生活を楽しむための大事な要素です。患者さんが自分自身で適切な水分管理・体重管理をできるようになるために、私たち医療スタッフのサポートが欠かせません。
患者さんの声から学ぶ
透析をしている患者さんから、「水を引かれすぎて、骨皮みたいになっちゃったよ」という言葉を耳にしたことがあります。このような発言には、透析で筋肉が減ったと思い込んでいる誤解が隠れている場合があります。
実際には、食事による極端な体重管理で筋肉量が減ったことが原因であるケースが多いです。本来、水分制限を守ることで体重をコントロールすべきところ、方法を間違えてしまったのです。
ドライウェイトの定義
維持血液透析ガイドラインでは、ドライウェイトを以下のように定義しています。
「透析療法によって細胞外液量が是正された時点の体重」
具体的には、以下のような条件で設定されます:
・臨床的に浮腫などの溢水所見がない
・透析による除水操作によって最大限に体液量を減少させた時の体重
・それ以上の除水を行えば低血圧やショックが必ず起こるような体重
この定義を最初に提唱したのは、1967年のThomson氏です。「ショック状態になるギリギリを目指す」と聞くと少し怖い印象を受けますが、それだけ慎重さが求められる治療です。
医療スタッフの役割
ドライウェイトの設定が適切でない場合、患者さんは大きな負担を抱えることになります。
・設定が緩い場合(除水不足):患者さんが一生懸命水分制限をしても効果が出ない
・設定が厳しい場合(除水過剰):治療が苦痛となり、生活の質が低下する
透析後、患者さんは食事や水分を摂り、次の透析日まで管理を頑張ります。その間の日常生活を楽しんでもらうためには、私たち医療スタッフの正確な観察と判断が欠かせません。
変わりつつあるドライウェイトの考え方
最近では、ドライウェイトの捉え方も変化しています。
「 体液量が適正であり透析中の過度の血圧低下を生ずることなく,かつ長期的にも心血管系への負担が少ない体重 」として定義されるようになってきました。
さらに、「適正な体液管理を行うことは、結果的に血圧の正常化を図り、透析患者の quality of life(QOL)の向上と生命予後の改善につながる」 とも記されています。
患者さんに水分制限の必要性を伝える際には、「血圧を安定させ、健康な日常を長く楽しむための大切な管理です」と説明するのも一つの方法です。
継続した説明とサポート
透析歴の長い患者さんほど、過去の経験や独自の考え方を持っていることが多いです。そのような方々には、一度の説明で理解を求めるのではなく、丁寧に繰り返し伝えていくことが重要です。
一方で、透析を始めたばかりの患者さんには、まず基礎的な知識から説明を始め、理解度に応じた指導を心がけましょう。ドライウェイトという概念を受け入れるには時間がかかる場合もありますが、患者さんに寄り添うことで信頼関係が築けます。
最後に
ドライウェイトの説明は私にとっても難しい課題です。患者さん一人ひとりに合った説明方法を見つけることが大切です。同じ内容でも、伝え方や表現によってわかりやすさが変わることもあります。ドライウェイトは奥が深いテーマですね。
