血液透析の仕組み

看護師メモ

透析室に行ったことがある方は、なんとなくご存じかもしれません。
ベッドやリクライニングチェアの横には透析機械が並び、中央には筒状の部品があり、赤と青のキャップが付いた複雑そうな回路がつながれています。

機械は「コンソール」、回路は「透析回路」、筒状の部品は「ダイアライザー」と呼ばれています。

血液透析を簡単に説明すると、体内の血液を一旦体外に出しながら、次の二つの働きを同時に行う治療です。

尿毒素を取り除き、電解質を正常に戻す
体内に溜まった余分な水分を除去する

私たちの体は、傷ができると血小板の働きで自然に止血し、かさぶたができます。
同じように、透析で血液を体外に出すとそのままでは固まってしまいます。血液が固まれば治療はできないだけでなく、失血の危険もあります。
そこで透析回路には必ず抗凝固薬が投与され、血液が固まらないように調整されています。薬の種類によりますが、透析中はどうしても出血しやすい状態になります。

1回4時間、週3回の透析を行ったとしても、実際に補えるのは腎臓の働きの10%程度です。
私は患者さんにこの事実をあえて伝えるようにしています。

透析を始めれば、これまでの制限(食事や水分など)がすべて緩和されると思う方も少なくありません。しかし現実には、透析生活にも自己管理と忍耐が必要です。

このことを最初に理解していただくことが、患者さんやご家族が腎不全と向き合いながら生活していくために大切だと考えています。

私はいつも、患者さんにこうお伝えしています。

「透析のために生きるのではなく、自分の願う日常生活や人生を実現するための手段として透析があります。」

透析スタッフは、患者さんの身体・心理・社会・スピリチュアルを守る専門家です。
もちろん医療者も人間なので常に正しい判断ができるとは限りません。
それでも、患者さんの身体を守り、生きがいを叶え、想いや信念を尊重するために最善を尽くしたいと願っています。

患者さん自身も、自分の生活や人生にどんな希望を持ち、治療にどう向き合うかを考えていく必要があります。簡単なことではないので、焦らず、自分のペースで進めていけたら良いと思います。

今回は「尿毒素」「電解質」「抗凝固薬」「ダイアライザー」などの新しい用語が出てきました。
まだ腎不全そのものについては触れていませんが、少しずつ説明していきますね。