透析の現場から、患者さんとの向き合い方とは?

看護師メモ

「透析」と聞くだけで、少し構えてしまう医療スタッフもいるかもしれません。透析の現場が他の診療科と少し違う雰囲気を持つせいで、「なんだか怖い」「別世界のよう」と感じる人もいるでしょう。

透析医療について十分に理解されていないために、「機械の操作をしているだけ」という誤解が生じることがあります。しかし、実際の透析医療は、患者さん一人ひとりの生活や健康に寄り添いながら、細やかな観察と判断を必要とする専門的な仕事です。

透析患者さんは、多くの疾患や苦労を抱えています。医療者である私たちは、その患者さんに何ができるのかを考えることが大切です。患者さんの苦しみや突然の状態変化に日々対応し、人生の最期を迎えるまで何年も何十年も寄り添い続ける透析スタッフは、本当に忍耐力と愛情が必要な仕事です。

私は、透析を「日常生活を送るための手段」だと考えています。しかし、透析患者さんは水分や食事、運動、生活パターンなど、さまざまな制限を受けるため、「生きるために透析をする」という本来の目的が、「透析をするために生きる」状態に変わってしまうこともあります。

これは、患者さんが透析スタッフからの生活指導を守ろうとする努力の結果ですが、気づかないうちに治療の本来の目標を見失うことがあります。透析スタッフも、患者さんの命を守ることに全力を尽くす中で、患者さんが「生きる理由」や「人生の楽しみ」を見つけられるよう支援することが求められます。治療だけでなく、患者さんの生活全体に目を向けることで、透析治療がより意味のあるものになるのではないでしょうか。

かつて、透析が存在しなかった時代には、末期腎不全は「死を待つだけ」の状態でした。しかし、透析が発明され、現在では「生活の質を向上させ、維持する」ための治療として位置づけられています(日本透析医学会)。

透析の目的が「延命」だけではなく、患者さんのQOL(生活の質)を高めることへと変わってきたのです。

透析患者さんは、それぞれの長い治療経験を通じて、自分なりの生活スタイルや考え方を築かれています。その個性や背景を理解し、寄り添うことが透析スタッフに求められる大切な姿勢です。また、透析スタッフも患者さんの生活や命に向き合う中で、独自のやり方や考え方を持つようになるものです。そうした個性は、患者さんと医療者が一緒に歩んでいく上で大切な要素ではないでしょうか。

透析は単なる治療ではありません。それは患者さんの生活を支え、希望する人生を叶えるための手段です。迷ったときは、この考えに立ち返ってみてください。